港区立伝統文化交流館

Before:見番→協働会館 → After:港区立伝統文化交流館

改修前の外観。倒壊、外壁落下を防ぐため足場やネットで養生されていた。/提供:青木茂建築工房

堂々とした唐破風の玄関。左は増築棟/撮影:桐原武志 2023年

2階の交流の間、左に見番時代の舞台がある。舞台の奥は耐震補強で付けられた格子。/撮影:桐原武志 2023年

玄関から交流の間への階段。現在の法規に合わせるための硝子の手摺(左)が設けられている。/撮影:桐原武志 2023年

老朽化のため施設が閉鎖され解体が危惧されたが、保存・活用を望む地域の声を受け、保存整備工事を進め、2020年に港区立伝統文化交流館として開館した。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称見番→協働会館港区立伝統文化交流館
Minato City Center for Traditional Culture
建築用途宿泊施設 集会施設, 展示施設 地区センター 展示場
建築概要/
Renovation 概要

芝浦花柳界の見番として建設された都内に現存する最古級の木造見番建造物。戦後は港湾労働者の宿泊所として使用されていた。

<青木茂建築工房Websiteより抜粋>
1)文化財としての価値を保全するため、使用可能な部材は極力残し、交換が必要となると想定される部材は、取り替えを前提とした。既存建物は、建物の安全性の確保のために耐震補強を行う必要があった。また、建物を安心して利用するために、段差解消や手すりの設置、誰でもトイレや昇降機の整備などが必要となった。
2)地域の歴史と文化の保存・発信、住民同士のコミュ二ティ形成や交流の促進、地域のにぎわい創出の拠点となる施設の主要室は、旧協働会館の歴史的価値を象徴し、伝統文化に関する講座や落語などの公演を行う「百畳敷」と呼ばれる「交流の間」とした。そのほか、「展示室」・「情報コーナー」、コーヒーなどの飲み物、軽食や甘味を提供する「憩いの間」と呼ばれる福祉喫茶を整備した。
3)耐震補強として建物の下部に新たな基礎と耐圧盤を整備するため、約2m建物を持ち上げた。揚屋工事が完了し、基礎が施工された後、改めて鉄骨レールを設置し、地上から約80センチにジャッキダウンした。その後、西に約8メートル建物を慎重に移動させ、曳家工事は完了した。増築棟には、既存建物に設置が困難である昇降機と車いすスロープを設置した。福祉玄関やだれでもトイレなど、公共施設として必要な新たな機能を設置した。増築棟の外壁位置は既存棟と揃えるなど、創建時の街並みを継承している。・・・

概要その他

設計者
青木茂建築工房
所在地
東京都港区芝浦1-11-15
Goole Map >>
改修年
2019
建築規模
鉄筋コンクリート造一部木造 地上2階
賞・選定
グッドデザイン賞(2020) 第7回「これからの建築士賞」(2021)
URL
https://aokou.jp/works/refining/post_58/

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更, 痕跡, 壁面保存, 増築, 補強

 

 

 

記録作成者

氏名
桐原武志
所属
Free JIA再生部会