土蔵と補う増築

Before:土蔵 → After:土蔵と補う増築

リノベーション前の土蔵、土蔵に接する右の建物は隣地/撮影・提供:澤秀俊

左が改修した土蔵、右が開放的な増築棟/撮影:楠瀬友将 提供:澤秀俊設計環境

土蔵を改修した1Fダイニング。土蔵が持つ落着き有る空間が継承されている/撮影:楠瀬友将 提供:澤秀俊設計環境

土蔵と対照的に開放感あふれる増築棟/撮影:楠瀬友将 提供:澤秀俊設計環境

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土蔵にはリビング、ダイニング、寝室といった生活の中心となる空間を設け、開放的な増築棟には階段や土蔵に収めにくい部屋を配している。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称土蔵土蔵と補う増築
Earthen storehouse and complementary extension
建築用途その他 住居施設 住宅
建築概要/
Renovation 概要

長年物置として使われていた築150年の土蔵

<澤秀俊設計環境websiteより引用> 土蔵の長所を活かし、足りないものを補完する
「築150年の土蔵を壊し家を建てることになったのだけど、立派な梁があるからもらってくれないか。」と言う相談を受けた。この土蔵は飛騨高山の伝統保存地域である古い町並の南端部、市街地を流れる宮川沿いの小道に面し、景観の美しさから写真を撮る人々を多く見かける場所にある。この伝統的風景を保存・更新し、歴史をつなぐことは、この地で建築に関わる者として当然の使命に思えた。そこで解体を止めるよう説得し、長年物置となっていたこの土蔵を住宅として転用する本計画が始まることとなった。
 敷地とその周辺を観察して気付いたのは、歴史的価値が高いとされるこのエリアは高密度に町家が密集しているため、日当たりや風通しが悪い傾向があることである。また、一尺の厚みの土壁で構成された蔵は、高い防音性能を持つものの、住空間とするには暗く、光や風が不足していた。そこで、蔵に隣接して存在した朽ちかけた小さな土蔵(昔は味噌や漬物の貯蔵庫だったという)を解体することで手に入れた3.5坪程の小さな土地に、太陽を捕まえるように背の高い増築をすることで、光と熱を取り込み土蔵内の空気を動かすことを試みた。
 夏期は、最上階の建具を開放することで重力換気を促し、宮川からの冷涼な風を土蔵に穿った窓から取り入れる。反対に冬期は、サンルームに集まる暖気を天井部から吸い込み、土蔵の一階床下へ送風する。床下エアコンによる暖房も適宜併用し、蓄熱性能の高い土蔵内部で保温することで、飛騨のような寒冷地でも快適な住環境を生み出すことが可能となった。

概要その他

設計者
澤秀俊設計環境
所在地
岐阜県高山市神明町
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改修年
2021年
建築規模
地上2階建 土蔵造り+在来工法
掲載書誌
新建築住宅特集 2022年4月号、日経アーキテクチャー 2022-9-8
賞・選定
日本建築家協会 JIA東海住宅建築賞 最優秀賞、日本空間デザイン賞2022 サステナブルデザイン賞 他
URL
https://sawadee-hida.com/2021/11/04/%E5%9C%9F%E8%94%B5%E3%81%A8%E8%A3%9C%E3%81%86%E5%A2%97%E7%AF%89-earthen-storehouse-and-complementary-extension/

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更, 増築, 対比, 補強

 

 

 

記録作成者

氏名
桐原 武志
所属
Free JIA再生部会