霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ

Before:霞ケ浦ふれあいランド 水の科学館 → After:霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ

旧施設 霞ケ浦ふれあいランド 水の科学館の外観 /髙橋一平建築事務所

曲がりくねる新築のテラス、奥に新築の受付棟、右手と左手に改修後の既存棟、手前にキリンが佇む庭/髙橋一平建築事務所

南東側から見た施設全景。奥に霞ケ浦が広がる/髙橋一平建築事務所

ヤギが駆け上がる旧建物大階段の解体跡/髙橋一平建築事務所

[No251] 閉館後の旧科学館および周辺エリアの再生整備事業。霞ケ浦の湖畔を散策しながら動物とのふれあいを通じ自然と人間の関わりについて学べる公共の場所へ変えた事例

リノベーション概要

Before

建築名称霞ケ浦ふれあいランド 水の科学館
建築用途展示施設
建築概要

水資源機構が管理していた展示施設

After

建築名称霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ
Kasumigaura public place with nature & animals
建築用途 展示施設
リノベーション概要

「霞ケ浦どうぶつとみんなのいえ」は、東京から2時間ほどの平野に広がる霞ケ浦の畔に、新たな公共の場として建つ。PFI形式による公共事業で、元々畜産業を営んでいた事業者と恊働し、私たちは施設づくりの企画から携わった。
地球は今や人新世と言われるほど人工物で溢れた。ここでの試みはその一つである旧科学館と広場を再編し自然へ還元することである。かつて人間が築いた世界を解体し、光、風、雨、緑といった自然を進入させ、そこへ動物たちが乗り込む。その事実だけを存在させ、人間がその有り様を目の当たりにする場所をつくる。近代はその理知的な所作により人間と自然をかえって遠ざけたが、ここでは両者を限りなく近づけようとしている。新築や解体、改修といったあらゆる建築行為を組み合わせ、再構築を図り、近代まで続いた人間中心による「空間」の構築ではなく、両者が主体となる「環境」を構築する、という新たな建築概念をつくり出す。
特にエリア外周側から巻きつく新築のコンクリート製テラスは、既存環境に対し外的な存在として現れ、径路を形成しながら場をかきまぜていく。既存環境がもつ当事者性の「外側」から建築を施すことで既存環境を変化させ、内/外、新/旧、人工/自然といった既存の対立概念を溶かしていく。動物とふれあいながら、歩いてその視点を実際に経験することにより、旧科学館施設、水田や畑が広がる霞ケ浦の水辺風景、空や大地や緑などの自然が、ひとつの新しい環境として結びつく。ここでの経験を通じ、人間は自然の一部に過ぎず、あらゆる生物は人間の外的存在として自らの意思で生きているという事実を、建築によって意識化できるよう再構築を図った。この建築はいわば「自然への入り口」である。

設計者 髙橋一平建築事務所
所在地 茨城県行方市玉造甲1234
Google Map >>
改修年 2022年-2024年
建築規模 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 延床面積 4,968.29㎡ 
掲載書誌 新建築2025年7月号、GA JAPAN 195
関連組織 等 建主: 行方市。 PFI事業者: MOFF、髙橋一平建築事務所、オカベ、常南グリーンシステム
URL https://www.takahashiippei.com/KAS.html

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更, 痕跡, 増築, 減築, 同化, 併存, 合体

 

 

 

記録作成者

氏名
髙橋一平
所属
髙橋一平建築事務所