川に向かって大きなガラスの開口部が開かれ、天窓から気持ちの良い自然光が差し込む。
内装は既存建物のむき出しの木板を基調として、新らしく付け加えたものは、白とグレーで統一され清々しい雰囲気である。
カウンター上部には動物が描かれた大きなアートが掲げられ、室内空間に生命感を与えている。
隅田川沿いの倉庫をリノベーションした「iki Roastery & Eatery」は、
既存建物の高い天井を生かしたおおらかな空間が広がるカフェ＆べーカリーだ。

設計は店舗の経営、運営も行う「ブエナデザイン」。
この店舗の他にも、ホテルやコワーキングオフィスなど、数多くのリノベーション・プロジェクトを手がけている。
壁と天井はスケルトンのままで、必要最小限な設備を設置し、椅子やテーブルなどは中古品で代用され、コスト感覚も厳しい。
屋外には水辺の景色を臨む屋外リバーテラスが設置され、室内デザインに新旧の対比が効果的に取り入れられている。

 駅からは遠く、平日の昼間でありながら、店内は満席で賑わっていた。
こうした心地よい空間には、嗅覚の鋭い人たちが情報を得てわざわざ訪れるという証拠だろう。
清澄白河周辺には、ブルーボトルカフェだけでなく、訪れる価値のあるカフェがたくさん集まっている。
偶然にも、iki Roastery & Eateryの並びに岸和郎設計による船を模した住宅も発見された。
建築好きにとっては、隅田川テラスを散歩する際の拠点としてもおすすめだろう。
場所：東京都江東区常盤1-4-7　（文・写真：柳沢伸也）