ギャラリーに転用された下田の石蔵

2022.09.28 更新 カテゴリ:コラム

なまこ壁と伊豆石による建物が多く残る下田の街並み。
大正4年竣工のこの石蔵は、地域資源として活用してほしいと市民から寄贈されたものである。
下田市は歴史的な建造物の保存・活用を目指したまちづくりの一環として、耐震改修を行い、ペリーロードを来遊する人々のために休憩・ギャラリー施設として開設している。
伊豆石は、凝灰岩系の柔らかく加工のしやすい石である。比重も比較的軽いため、建設資材に多く使われている。試験の結果、伊豆石の接合面には十分な静止摩擦力が期待できることが分かり、地震力に対してのみ壁の上下端を固定すればその間の補強は必要ないことが明らかになった。
石蔵の保存再生の道に、視界が開ける事例である。設計は、山中新太郎。
(文・写真:柳沢伸也)