米軍の接収地「旧根岸競馬場」の返還迫る

2022.09.28 更新 カテゴリ:コラム

戦後、米軍の駐車場やゴルフ場として接収されていた、我が国初の洋式競馬場の「旧根岸競馬場」(横浜市)が2023年春ころ、ようやく我が国に返還される見込みだ。
周囲は根岸森林公園となっており、休日には地域の家族連れでにぎわっている。
敷地内に建っていた占領軍住宅の解体が始まった。

写真の建物は、1929年に建設された競馬場の1等観覧席をエントランス方向から撮影したものである。
建物の正面は、どう見てもウマの面。
建築家J.H.モーガンの遊び心が感じられる。
この裏には、かつて一等馬見所や天皇貴賓室などの観覧席が設けられていた。
しかしなんら保全処置をしていなかったため、建物は崩壊寸前である。

建物返還後はそのまま横浜市へ移譲される見通しである。
が、その後建物を保存するか解体するか、などまだ何も決まっていない。
貴重な近代文化遺産である馬見所だけに、ウマい活用をしてもらいたいと願う。
(文・写真:柳沢伸也)