旧本庄商業銀行煉瓦倉庫

Before:本庄商業銀行煉瓦倉庫→洋菓子店:清水温泉 → After:旧本庄商業銀行煉瓦倉庫

洋菓子店の痕跡が残る、改修前の内観/提供:福島加津也+冨永祥子建築設計事務所

外観/撮影:桐原武志 2023年

2階:多目的ホール。劣化していた内装の漆喰は煉瓦と目地を痛めないように中圧洗浄で撤去/撮影:桐原武志 2023年

構造模型:2階スラブ上の梁、柱頂部を繋ぐ屋根裏の補強材など完成後は見えない構造が判る。/提供:福島加津也+冨永祥子建築設計事務所

耐震補強は既存の煉瓦組積と木トラスの空間を出来る限り損なわないこと、空間デザインは転用の痕跡を過去の出来事の表象として即物的に扱うことをテーマに改修

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称本庄商業銀行煉瓦倉庫→洋菓子店:清水温泉旧本庄商業銀行煉瓦倉庫
Old Brick Warehouse of the Commercial Bank of Honjo
建築用途交通流通施設, 商業施設 倉 店舗 集会施設, 展示施設 展示場
建築概要/
Renovation 概要

1896年に繭を保管するために作られた煉瓦組積の倉庫。その後、洋菓子店の店舗・工場として使用されていた

<福島加津也+冨永祥子建築設計事務所Websiteより抜粋>・・・高級品であった繭を保管するため、当時の最新技術が用いられている。それは煉瓦組積の高い品質、キングポストトラスによる9m×36mの大きな無柱空間や、換気や湿度調整ができる建具などに見る事が出来る。その後貴重な産業遺産として国の登録有形文化財となり、本庄市の交流拠点として保存改修が計画された。・・・研究チームと建築家の協働から、耐震補強は既存の煉瓦組積と木トラスの空間を出来る限り損なわないこと、空間デザインは転用の痕跡を過去の出来事の表象として即物的に扱うこと、という二つのテーマが生み出された。
耐震補強は既存建物と明確に区別するため鉄骨造とし、現代の建築と同等の耐震性能を目標とした。不足している短辺方向の耐力は、水平方向の2階床と屋根で補強しているが、完成後は全く見えなくなる。

概要その他

設計者
福島加津也+冨永祥子建築設計事務所
所在地
埼玉県本庄市銀座1-5-16
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改修年
2017
建築規模
煉瓦造+鉄骨造 延床面積:711.33㎡
掲載書誌
新建築2017年6月号、住宅建築2017年2月号
賞・選定
国登録有形文化財、2019年日本建築学会作品選奨、2018年ユネスコアジア環太平洋文化遺産保全賞功績賞
URL
http://ftarchitects.jp/%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E5%80%89%E5%BA%AB/

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更, 痕跡, 壁面保存, 補強

 

備考

<福島加津也+富永祥子建築設計事務所Websiteより抜粋> 考古学としての建築:この建築を、竣工時の資料や工事予算が潤沢でない保存改修のパイロットプランとして考えてもらえるとうれしい。時間の流れを逆向きに戻すのではなく、残された歴史の断片をつないで再構築し、未来へつないでいく。それは建築の考古学的思考であり、ここに古い建築の改修に建築家が参加する意味がある。現地に行ってみると建築家は何もしていないように見えるだろう。それはこの建築にとって最も幸せなことである。 

 

 

記録作成者

氏名
桐原 武志
所属
Free JIA再生部会