1932年創業の銭湯。1985年に現在のマンション型銭湯に建て替えられたが、老朽化により2020年に大規模な改装に至る。

使われなくなった焚き場や倉庫、機械室などを転用し、サウナや外気浴のできるスペースを付け加えた。既存にあったコインランドリーは移転させ、玄関周りのプランを工夫することにより、番台機能を兼ねたバーカウンター空間を作り出している。風呂は、あつ湯、薬風呂、炭酸泉、水風呂をL字型に配置し、男子用にはさらに有料ゾーンとしてサウナ、水風呂、外気浴スペースを設けている。増築した外気浴スペースからは青空を眺めることができ、都心ではめったに味わうことのできない解放感を味わえる。
改修方法としては、柱と梁などのスケルトン以外をすべて作り直す大規模改装である。正面玄関の壁も取り払い、打ち放しコンクリートを立ち上げ、エントランス空間上部に大きな開口部を作り出している。若手アーティストを起用した大暖簾や壁画、サインなども空間演出に一役買っている。タイルを残したまま既存部分と、打ち放しコンクリートそのままの荒々しい外観が新旧対比を強調している。