ハイライン

Before:貨物専用高架鉄道 → After:ハイライン

ビルを貫通するかつてのハイライン/田代洋志(2016年)

断面の見えるスタート地点/田代洋志(2016年)

歩行者専用の散策路に再生されたハイライン/田代洋志(2016年)

額縁からの眺望を意識させるベンチ/田代洋志(2016年)

ニューヨークのマンハッタン西部にある高架貨物線跡を産業遺産として残し、空中庭園として再生した公園である。地上9mの高さから、ニューヨークの眺めを楽しめる緑豊かな散策路へと変貌した。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称貨物専用高架鉄道ハイライン
the High Line
建築用途交通流通施設 その他 その他 ランドスケープ(公園、広場)
建築概要/
Renovation 概要

1934年に建設された鉄道路線は1980年に廃線となり、以降長く放置されていた。レールの間からは雑草が生い茂り、いったんは取り壊しが決まったものの市民運動によって存続、再利用へと展開した。

ハイラインは住民の草の根運動から発展したボトムアップ型のプロジェクトである。NPOフレンズ・オブ・ザ・ハイラインという地元住民組織が提示した高架を公園化するアイディアがきっかけで、設計案やイベントを通じメディアや政治家が注目し、市長が替わって2002年に取り壊しは撤回された。
ハイラインの改修には旧線路の一部が再利用され、植栽の大半はここに元々自生していた200種類以上の草花、低木、樹木で構成されている。舗装は、5種類のコンクリート床板を組合せて構成し、先細り型の形で植栽エリアとの境界をぼかしている。バリアフリー法の規制による1.8m以上の通路と、幅員の狭いメンテナンス用の通路が交互に交差するような動線計画となっている。照明はLEDを用い、ベンチや手すりなどの公園施設に内蔵され、歩道や植え込みを優しく照らしている。
周辺地区は、かつての負のイメージが払拭され、様々な文化施設や商業施設が集積し始めた。市はハイラインをマンハッタンの新たな観光資源として位置付け、観光客の誘致に乗り出している。

概要その他

設計者
James Corner Field Operations, Diller Scofidio+Renfro(建築),Piet Oudolf(植栽),Bovis Lend Lease(CM)
所在地
New York, The United States
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改修年
2011年
建築規模
総延長2.3㎞
掲載書誌
『HIGH LINE』,アメリカン・ブック&シネマ,2013.07.31, 『a+u2010年5月号』,新建築社
資料
ハイライン公式HP
賞・選定
第13回Veronica Rudge Green Prize in Urban
URL
https://www.thehighline.org/

リノベーションの手法・キーワード 等

 

備考

多くの寄付を集い、寄付者の名前の付いたブリッジやフライオーバーなどが設置されている。
ハイライン沿線の街区は2005年に土地利用区分が改められて、沿線の上空部分の容積開発権を売却、移転できるようになった。

 

 

記録作成者

氏名
柳沢伸也
所属
JIA再生部会