郭巨山会所(かっきょやま)

Before:郭巨山会所 → After:郭巨山会所

大通り沿いに保存増築された郭巨山会所/柳沢伸也(2024年)

既存部と区別しつつ全体として統一感ある増築部分/柳沢伸也(2024年)

かつて外部に面していた蔵の入口を内部化/柳沢伸也(2024年)

京都の祇園祭で巡行する山鉾の1つである郭巨山会所の増改築プロジェクト。京都市の条例で保存対象建築となり、建築基準法適用除外として増築を実現した。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称郭巨山会所郭巨山会所
Kakkyoyama
建築用途集会施設 その他 集会施設 その他
建築概要/
Renovation 概要

室町時代から受け継がれてきた郭巨山の保存と運営を行うための会所。建て直しも検討されたが、歴史性と希少性を後世に継承すべく、京都市から保存対象建築物として指定を受けた。

明治40年に建造された郭巨山会所は、京都祇園祭の歴史を継承する歴史的建築物の意匠性と木造平入り2階建ての建造物的な価値により、京都市の条例で保存対象建築となった。そのため建築基準法適用除外となり、地震や火災に対する対応を行った上で、増築が許可された。既存の母屋と土蔵を残しつつ、その間に大屋根をかけて、延べ床面積を拡張し、水まわり等を改修して、現代的なニーズに適合させた。2階母屋の格天井や欄間、長押などを保存している。
構造は、既存の伝統木軸木造は保持しつつ、梁間方向に鉄骨耐震フレームを設置。鉄骨は木柱(120角)と同等寸法(H-125×125)を採用するなど、既存の建物に対して配慮を行っている。
現在、他の山鉾町の会所の多くは、建替等によりマンションやビルの一部を会所としている中、京都の伝統的な建造物の価値を再確認し、保存と増築によって伝統継承を行った。建築基準法の適用除外した事例としても、興味深い。

概要その他

設計者
建築:魚谷繁礼建築研究所、構造:柳室純構造設計
所在地
京都市下京区四条通西洞院東入郭巨山町
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改修年
2022年
建築規模
延べ面積:119.02㎡,木造+鉄骨造 地上3階
掲載書誌
新建築2023年4月号
賞・選定
2023年度日本建築学会賞
URL
https://kakkyo-yama.org/kakkyo-yama/kaisho

リノベーションの手法・キーワード 等

増築, 合体, 補強, その他

 

備考

京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000157989.html

 

 

記録作成者

氏名
柳沢 伸也
所属
JIA再生部会