パンとエスプレッソと嵐山庭園

Before:旧小林家住宅 → After:パンとエスプレッソと嵐山庭園

改修前の住宅内部の様子/木元洋祐建築設計室

門扉には店名の書かれたのれんが掛かる/柳沢伸也(2022年)

屋根の軒は低く室内には地面からの反射光が入る/柳沢伸也(2022年)

窯場が保存された砂利敷きの土間/柳沢伸也(2022年)

築210年の京都府指定有形文化財の農家用住宅を、飲食店に用途変更した事例。飲食店の機能を確保するため、厨房とトイレの整備を実施した。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称旧小林家住宅パンとエスプレッソと嵐山庭園
BREAD.ESPRESSO.AND.ARASHIYAMA
建築用途住居施設 住宅 商業施設 店舗, 飲食店
建築概要/
Renovation 概要

1809年(文化6年)に建てられた茅葺きの農家用住宅。昭和54~57年に船井郡園部町から移築。屋根は入母屋造茅葺き、プランは片側に土間、一方に2列3室を並べた丹波南部地方の典型的農家様式。

歴史的な価値を有する茅葺きの古民家をリノベーションし、京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例の適用を受けた事例である。この建築物の保存活用に際し、以下の基準法の適合が困難だった。技術的基準に不適合(法20条)、屋根を不燃材料で造るまたは葺く必要(法22条)、排煙口の設置(法35条)、無窓居室の区画(法35-3)である。これに対し、建築基準法の適用除外とし、旧小林家住宅では以下の安全性確保のための代替措置を講じた。
劣化部分の健全化と耐震改修工事、既存の放水銃の更新、火気の不使用、建物内外の全面禁煙、自動火災報知設備と通報設備の設置、消火器の設置、防災訓練の実施等を行った。
内装の壁や柱、梁はそのままの状態で保存され、歴史を感じさせる一方で、土間の厨房施設やトイレ等は対比的にきれいに整備されている。カフェはにぎわいを見せており、近接するパン屋とともに、古民家再生の貴重な活用事例と考えられる。

概要その他

設計者
木元洋佑建築設計室(内装)、 Noiz design and architect(建築)
所在地
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町45-15
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改修年
2019年
建築規模
木造平屋、延べ面積142.04㎡
掲載書誌
商店建築2021年5月号
資料
京都市情報館「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」
賞・選定
府指定有形文化財,京都デザイン賞建築部門,SKY DESIGN AWARDS2020インテリア部門他
URL
https://bread-espresso.jp/shop/arashiyama-cafe.html

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更, 挿入, その他

 

備考

参考資料文献:
京都市情報館「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000157989.html

敷地は第一種住居地域、法第22条区域

 

 

記録作成者

氏名
柳沢 伸也
所属
JIA再生部会