サンテリア幼稚園

Before:サンテリア幼稚園 → After:サンテリア幼稚園

周辺の道路から角度を振って配置された園舎/Google 2011

中庭を中心としたコの字型のプラン/柳沢伸也(2005年)

日除けスクリーンが内蔵された教室前のフレーム/柳沢伸也(2005年)

デザインモチーフの十字型のスリット窓と正面の全面ガラス/柳沢伸也(2005年)

関連タグ:

建築家ジュゼッペテラーニが設計した幼稚園を、元の状態に丁寧に戻した改修。廊下や教室間に可動壁を導入し、衛生的な食堂室を独立して配置するなど保育園の機能的な斬新さは、後の近代的な学校の原型とされた。天井から床までの全面ガラス、横長の連想窓、縦長スリット窓の3種類を組み合わせ、特徴的な外観を形成している。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称サンテリア幼稚園サンテリア幼稚園
Asilo D'Infanzia Sant' Eria
建築用途教育施設 幼稚園 教育施設 幼稚園
建築概要/
Renovation 概要

1937年10月竣工のジュゼッペ・テラーニの設計による保育園。その設計思想は当時最新の「技術衛生基準」に則り、中庭を囲んだC型の平面配置で、明るく機能的な保育園が実現された。天井高さは4.5m、柱を内側に寄せて外周部を全面ガラスで構成し、明るい内部空間が実現している。教室間の壁や廊下と教室間の壁は可動となっており、フレキシブルな教育活動が可能な設計となっている。

 本建築は、当時の最新の「技術衛生基準」に則り、明るく機能的な保育環境を実現した。平面は中庭を囲むC字型(コの字型)に配置され、自然採光と通風が最大限に確保されている。また、廊下や教室間には可動壁を導入し、用途に応じた空間の可変性を持たせた点が特徴的である。さらに、食堂は独立した配置となっており、衛生面への配慮がなされている。これらの設計的工夫は、後の近代的な学校建築の原型の一つと見なされている。
 建物は周辺道路とは若干角度を振った配置とされており、教室が周囲の住宅から適度に距離を保ち、プライバシーが確保されている。園内には外廊下が巡らされ、子どもたちが安全に移動できるとともに、自由に走り回れる環境が形成されている。また、教室の南側にはフレームが設置され、内部に可動式のオーニングが組み込まれている。これにより、日差しの強い日には適切な日除けを提供できる工夫が施されている。
 さらに、廊下との境界には部分的に開閉可能な壁が採用され、オープン教室形式への柔軟な対応が可能となっている。このように、アントニオ・サンテリア幼稚園は、機能性と柔軟性を兼ね備えた先進的な設計がなされた建築として、高い評価を受けている。修復はテラーニ・スタジオが担当し、オリジナルの状態を尊重しながら丁寧に改修が施された。

概要その他

設計者
Studio Terragni
所在地
via Alciato, 15, Como, Italy
Goole Map >>
改修年
1985
建築規模
地上1階
URL
https://www.lombardiabeniculturali.it/architetture/schede/3m080-00042/

リノベーションの手法・キーワード 等

保存改修,文化遺産,外観保存

 

備考

園内に備え付けられた家具の一部は、テラーニ自身がデザインしたものである。 特に、3脚のアームチェアは、教師と子どもの体格に合わせて設計され、スチール製のフレームが特徴的である。それぞれのデザインには統一感があり、機能性だけでなく、子どもへの配慮が感じられる。このように、建築のみならず、家具デザインにまで細やかなこだわりを見せた点は、これまであまり知られてこなかった。保育環境全体を創造しようとしたテラーニの、建築家としての新たな側面がうかがえる。

 

 

記録作成者

氏名
柳沢伸也
所属
JIA再生部会