バランザーテ教会

Before:バランザーテ教会 → After:バランザーテ教会

2重ガラスに挟み込まれたポリスチレン断熱材が劣化してしまった様子/柳沢伸也(2005年)

柔らかな光が満ちてキリスト像が浮かび上がる内部空間/佐久間達也(2024年)

耐震性を考慮してステンレス鋼で再生された外部サッシ/佐久間達也(2024年)

劣化部分の是正は最小限とし、美しく忠実に復原されたインテリア/佐久間達也(2024年)

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[No204] 1957年に建てられたこの教会は、SBG Archettiの設計監理により2012~2015年に改修。半透明の外壁パネルは3重ガラスと乳白フィルムにより高気密・高断熱仕様へと更新され、黒ずんだ梁も丁寧に洗浄され、元の印象を損なうことなく復原された。
→コラム「バランザーテの教会(1957,MILANO)」2024.08.07参照

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称バランザーテ教会バランザーテ教会
Chiesa Mater Misericordiae a Baranzate
建築用途宗教施設 教会 宗教施設 教会
建築概要/
Renovation 概要

この教会はアンジェロ・マンジャロッティの名を世に知らしめたデビュー作。半透明ガラスの白い壁とプレキャスト梁、天井パネルで構成され、光が満ちる空間にキリスト像が浮かび上がる姿は、モダニズムの設計手法で独自の静けさと威厳をたたえている。

この教会は、アンジェロ・マンジャロッティ、ブルーノ・モラッスッティ、アルド・ファヴィーニ(構造設計)によって1956年に設計され、イタリアの建築デザインと建設技術の大きな転換点となった建物である。コンクリート、スチール、ガラスといったモダニズムを象徴する素材の巧みな使用と、高度な建設技術が融合した本作は、創建から70年近く経た今なお人々を魅了し続けている。特に、プレキャスト・コンクリート(PC)は近代化の象徴として注目された。
しかし、モダニズム建築は経年劣化に直面し、半透明の白いガラスパネルで挟まれたポリスチレン断熱材が大きく傷み始め、2003年頃から改修の必要性が指摘されていた。2012年、マンジャロッティの死後にようやく改修工事が始まり、SBG Architetti設計監理の下、慎重な復原が進められた。外壁のガラスパネルは、3重ガラスと乳白フィルムを用いた高気密・高断熱仕様に更新され、スチール製サッシは耐震性を考慮しステンレス鋼で再構築された。黒ずんだ梁も丁寧に洗浄された。内外装の意匠は忠実に復原され、劣化部分の改修は最小限にとどめられている。

概要その他

設計者
SBG Architetti
所在地
Via Conciliazione 22, Baranzate, Milano, イタリア
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改修年
2012-2015年
建築規模
地下1階、地上1階、延べ面積880㎡
掲載書誌
Casabella(No.875), Abitare(No.495), Domus(No.923), Il Giornale dell'Architettura(2008.12.15)
資料
https://angelomangiarottifoundation.it/en/opere/architecture/
賞・選定
Second prize at the Grand Prix 2013-15 in the category of public service and industrial buildings
URL
https://divisare.com/projects/410346-angelo-mangiarotti-ivo-stani-chiesa-mater-misericordiae

リノベーションの手法・キーワード 等

補強、復原、外観保存

 

備考

イタリアの建築デザインと建築技術の大きな転換点となった歴史的文化遺産であり、丁寧な保存・修復活動が認められ、2008年にDOCOMOMOに登録された。

 

 

記録作成者

氏名
柳沢 伸也
所属
JIA再生部会