バジリカ・パッラディアーナ

Before:パラッツォ・デッラ・ラジオーネ(Palazzo della Ragione) → After:バジリカ・パッラディアーナ

ヴィチェンツァの象徴的存在であるバジリカ・パッラディアーナ/撮影:柳沢伸也

増築部分の2階のロッジア(柱廊)の様子。左手壁は旧庁舎/撮影:柳沢伸也

付加されたルネッサンス様式のロッジア(柱廊)部分/撮影:柳沢伸也

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[No206]15世紀に建てられたゴシック様式の市庁舎を、ルネサンス建築の巨匠アンドレア・パッラーディオの設計により、周囲に2層のロッジア(回廊)が増築された建物である。改修から400年以上経った現在、ヴィチェンツア市のシンボルとして、また、市民が日常的に利用できる「公共の場」として、展覧会や文化イベント会場に活用されている。

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称パラッツォ・デッラ・ラジオーネ(Palazzo della Ragione)バジリカ・パッラディアーナ
Basilica Palladiana
建築用途事務所 庁舎 集会施設 その他
建築概要/
Renovation 概要

15世紀初頭に、ゴシック様式の市庁舎として建設された。しかし、構造上の問題から一部が崩壊し、再建の必要性があった。

ヴィチェンツァの歴史地区、シニョーリ広場に面して建つバシリカ・パッラディアーナは、ルネサンス建築の巨匠アンドレア・パッラーディオの代表作として広く知られている。もとは15世紀初頭にゴシック様式の市庁舎として建設されたが、構造的な不安定さや外観の不統一が長らく課題となっていた。
1546年、地元出身の若き建築家パッラーディオの改修案が採用される。彼は既存の建物を残しつつ、全体を二層のロッジアで包み込むという革新的な構想を提案。セルリアナ様式(アーチと矩形の開口部を組み合わせたデザイン)を用いたその外観は、古典の秩序を現代の公共建築に巧みに取り入れ、構造的な不均衡さを美しく覆い隠す役割も果たした。
第二次世界大戦中に屋根が損傷を受けたものの、戦後には元の意匠を尊重しつつ忠実に再建されている。さらに2007年から2012年にかけては、構造的安定性と美観のさらなる向上を目的とした大規模修復が実施された。屋根構造は軽量な集成材アーチへと刷新され、外壁の洗浄・補強、新たな照明設備の導入などを通じて、歴史的建築としての威厳を保ちながら、現代的な活用にも対応する空間へと生まれ変わった。

概要その他

設計者
アンドレア・パッラーディオ(Andrea Palladio)
所在地
Vicenza, Italy
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改修年
1549-1617年
資料
ヴィチェンツァ市公式ホームページ
URL
https://www.comune.vicenza.it/Vivere-il-comune/Luoghi/Basilica-Palladiana

リノベーションの手法・キーワード 等

補強,増築,対比,用途変更

用途変更, 増築, 対比, 補強

 

備考

1994年にユネスコの世界遺産リストに登録された。
2007-2012年にかけての修復プロジェクトは、ヨーロッパ連合文化遺産賞(Europa Nostra Award)を受賞し、その保存活動が高く評価されている

 

 

記録作成者

氏名
柳沢 伸也
所属
JIA再生部会