新風館

Before:京都郵便局 → After:新風館

リテャード・ロジャースによる改修時の様子/Googleストリートビュー(2015年3月)

吉田鉄郎設計の旧京都郵便局と奥の増築部分/撮影:柳沢伸也(2023年)

中庭を介してつながる烏丸通と東洞院通り、姉小路通りを結ぶ新たな動線を建物内に設置/撮影:柳沢伸也(2023年)

エースホテル京都のロビー。杉の木組みの天井が外部から連続/撮影:観音克平(2024年)

[No218]京都市の指定登録文化財第1号となった1926年完成の旧京都郵便局を、一部、保存活用して再開発されたホテル・店舗・映画館からなる複合施設

リノベーション概要

Before

建築名称京都郵便局
建築用途事務所 庁舎
建築概要

1926年竣工の吉田鉄郎設計による旧京都中央電話局を、再開発を前提に、リテャード・ロジャースの設計で2001年に商業施設「新風館」として再生。

After

建築名称新風館
ShinPuhKan
建築用途 宿泊施設, 商業施設 ホテル 店舗, 飲食店
リノベーション概要

約20年前に、リチャード・ロジャースによる設計で吉田鉄郎設計の旧京都郵便局の一部を残して、暫定開発として商業施設「新風館」が建設された。今回はその増築部分を撤去し、旧棟の脇に増築を行って、ホテルと商業、映画館からなる複合施設「新風館」として生まれ変わった。
旧棟の躯体は全面的に修復・改修された。旧棟の格子窓はアルミ型押材で全面的に復元され、レンガ調タイルはエイジングの風合いを残しながら部分的に張替えが行われた。また、姉小路通り入口のヴォールト天井には既存図面に記載されたペンダント照明が復元された。インテリアにも、竣工当時の空間を生かしたデザインが行われている。
リノベーションの特徴としては、かつて電話交換機が収容されていた既存の高い階高を活かし、増築部分にもホテルの吹き抜けラウンジやエントランスホール、個性豊かな商業空間が形成されている点である。
新棟は、隈研吾氏がデザイン監修し、ルーバーとメッシュ木組み架構が外部から内部へ貫通したデザインとなっている。庭を中心に接道する三か所にそれぞれ趣の異なるエントランスを設け、路地(パッサージュ)が設けられ、オープンな歩行者空間が形成されている。

設計者 NTTファシリティーズ
所在地 京都市中京区
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改修年 2020年
建築規模 地下2階、地上7階、延べ面積2万5611㎡
掲載書誌 『新建築』2020年9月号、『日経アーキテクチュア』2020年12月8日号
賞・選定 2021年度グッドデザイン賞、サインデザイン賞

リノベーションの手法・キーワード 等

用途変更,大規模改修,外観保存,増築,対比

用途変更, 部分保存, 壁面保存, 増築, 対比

 

備考

中庭に置かれたアートワーク「Ether(Octagon)」は、名和晃平の作品。

 

 

記録作成者

氏名
柳沢伸也
所属
JIA再生部会