グランビル・アイランド・パブリック・マーケット/公設市場

Before:工場 (製材機械・鉱山機械・ボルト) → After:グランビル・アイランド・パブリック・マーケット/公設市場

パブリック・マーケットの前進となる1922年当時の工場群。/City of Vancouver Archives より

中心施設の「パブリック・マーケット」。食料品店、クラフトショップ、フードコート、カフェ、小規模事務所などが入居。/撮影:榎戸敬介 2025年撮影

工場時代の木柱や配管パイプなどを再利用したマーケット内のフードコート。/撮影:榎戸敬介 2025年撮影

マーケット前のボート・ドックとイベント広場としても使われるウッドデッキ。/撮影:榎戸敬介 2025年撮影

[No223] もともとの工業地区の雰囲気を残すように、工場建物や倉庫、貨物線路、配管などをできる限り残し、多様な都市的アメニティを組み込んでいる。住民だけでなく観光客にとっても魅力的な地区となっている。

リノベーション概要

Before

建築名称工場 (製材機械・鉱山機械・ボルト)
建築用途生産施設 工場
建築概要

パブリック・マーケットの建物は、製材機械製造、産業用ロープ(のちに鉱山機械)製造、ボルト製造の3社の工場を改修してつくられた。

After

建築名称グランビル・アイランド・パブリック・マーケット/公設市場
Granville Island Public Market
建築用途 商業施設 店舗
リノベーション概要

グランビル・アイランドはかつて先住民の漁労の場であったフォールス・クリーク入江の浅瀬を埋め立てて1916年に工業用地として造成された土地15.2haと干潟2.1haからなる地区である。第二次世界大戦後はほとんどの工場が地区外へ移転し遊休地となっていた。1960年代、学者や地元のグループが同地区の再開発を提案し、土地所有者であるカナダ政府は同地区を公共の利益を実現する場として再開発することを認めた。地区全体のデザインコンセプトは地区のマネジメントを行うCanada Mortgage and Housing Corp.が任命したNorman Hotson Architectsの主導により構想された。Hotsonのコンセプトは工業地区の雰囲気を残すために古い建物を可能な限りリサイクルしつつポスト工業化社会で求められる多様な都市的アメニティを組み込もうとするもので、工場建物だけでなく貨物線路や配管、ボラードなど工業地区としての歴史を示す物的要素の保存・再利用の枠組みとなった。
 地区の中心施設は1979年に改修完了したグランビル・アイランド・パブリック・マーケットと呼ばれる公設市場である。6、7棟の工場建物を連結し改修された建物で、同地区において最も早く整備された。パブリック・マーケットには生鮮食品をはじめとする各種食料品店やフードコートなどがある、地区全体ではシアター、コミュニティセンター、各種のクラフト工房、小規模事務所など市民向けの施設に加え、ホテルやマリーナ、レストラン、ギャラリー、雑貨店など観光者も楽しめる環境が形成されている。

設計者 Norman Hotson Architects, Vancouver
所在地 Public Market, 1689 Johnston St, Vancouver, BC V6H 3S2 カナダ
Google Map >>
改修年 1979
建築規模 トラス構造・2階・4,320㎡
掲載書誌 Island in the Creek: The Granville Island Story [Gourley, Catherine. Madeira Park: Harbour Publishing, 1988]. 他
賞・選定 1977 Canadian Architect Awards of Excellence
主な関連法規、条例、助成金 等 国が土地所有者であるため、バンクーバー市のゾーニング規制がかからない。
関連組織 等 カナダ政府/Canada Mortgage and Housing Corp. (CMHC)/Granville Island Council/バンクーバー市
資料・その他 りゅうぎん調査:都市計画の視点から見たウォーターフロント観光開発のありかた。
資料・その他(PDF) [ PDF版資料ダウンロード ]
URL https://granvilleisland.com/public-market

リノベーションの手法・キーワード 等

ウォーターフロント再開発、ブラウンフィールド、ポスト工業化、インクリメンタル都市開発、産業遺構、市民参加、都市観光

用途変更, 痕跡

 

 

 

記録作成者

氏名
榎戸敬介
所属
千葉商科大学総合政策学部 教授