公共施設の建替え&改修の成功のコツ

2025.03.11 更新 カテゴリ:コラム

武蔵野市エコreゾート

第23回JIA環境建築賞 優秀賞を受賞した、武蔵野市のゴミ処理場の建替え&改修施設
「武蔵野クリーンセンター・むさしのエコreゾ ー ト」の説明見学会(日時2025年2月27日)
に参加した。実に12年間を要したという。最初の2年間は、施設建設反対の住民との協議。
その後、市民参加で作り上げていった施設なのだそう。

 


武蔵野市と言えば、いち早い高齢化社会への対応で、
日本初のコミュニティーバスを走らせた先駆的な自治体である。
この施設は誰でも予約なしで見学が自由という開かれように驚かされる。
施設運営の真新しさだけではなく、環境、地域に馴染む建築の工夫が散りばめられている。

そして、1代目のゴミ処理場の再利用がユニークだ。
こういった公共施設のリノベーションの手法の成功例はそう多くはない。
ここで、私が感じた成功の秘訣を記しておきたい。

1)工場施設を建築文化施設にまで格を上げたいとう自治体の情熱的な担当者の存在。

2)市民参加の第一人者である学識者や建築家を加えた委員会の存在。

3)最先端技術を、惜しみなく設計施工に取り組んだ技術者集団。

そして、何より、

4)そこに暮らす人々の意識の高さ。であろう。

問題意識を持ち、行政任せにせず、一緒に考える。
汗を流す、知恵を出す存在あってのことだ。

今の時代に、これだけの市民のポテンシャルがあるだろうか。。。
今の私たちが、地域との関わりをどれだけ見据えて生活しているだろうか。
そんなことも考えさせられる施設である。

最後に

5)施設への愛着。それを前面に出したリノベデザイン。

ゴミ処理場といえば、毎日生活の中でお世話になる施設なのに、
何か遠い存在である。それが、今回のリニューアルによって、
地域のコミュニティを育む場所として生まれ変わった。
役目を終えた施設が、こんなにも新しく生き生きとして見えるのは
デザインの力が大きい。サイン、減築、空間の見せ方。
いずれも、この場ならではのものだ。

遠方からでも、見学に行く価値がある。ぜひ、立ち寄ってみて欲しい。

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(文責・写真:JIA再生部会 柿本美樹枝)