大多喜町役場

Before:大多喜町役場 → After:大多喜町役場

中庁舎(旧庁舎)の左にあった駐車場に本庁舎を建設/提供:千葉学建築計画事務所

中庁舎(旧庁舎)外観。創建時のオーセンティシティを大切にしながら刷新され、コンクリート躯体やサッシも丁寧に補修されている/撮影:桐原武志 2024年撮影

増築された本庁舎外観。タワー(ベルタワー)は1969年の完成/撮影:鈴木研一 提供:千葉学建築計画事務所

天井が高く開放的な本庁舎事務室。大多喜町の町屋の小屋組と旧庁舎の門型フレームからヒントを得た大梁小梁が積層する天井/撮影:西川公朗 提供:千葉学建築計画事務所

関連タグ: , ,

現代のニーズに対応した事務空間を増築する事で、旧庁舎を解体せず会議室や住民サービスの多目的ホールに改修

リノベーション概要

BeforeAfter
建築名称大多喜町役場大多喜町役場
OTAKI TOWN HALL
建築用途事務所 庁舎 事務所 庁舎
建築概要/
Renovation 概要

今井兼次の設計で1959年に竣工した町役場、日本建築学会賞を受賞しDOCOMOMOに選定された名建築

旧庁舎の保存は、千葉県建築家協会、また早稲田大学卒業生が中心となってなされた、保存に向けての様々な検討に負うところが大きい。特に、保存要望書を町に提出するのではなく、改修と新築のコスト負担比較など、具体的で実践的な可能性検討を通じ、町との信頼関係を築いてきたことが身を結ぶこととなった。
新庁舎の設計にあたっては、今井兼次の精神を引き継ぎ、冗長性と象徴性をテーマとしている。今後少なくとも50年は使い続けられるために、線的な空間の旧庁舎を補完するよう30m×30mの面的な広がりをもった平面とし、約7mの天井高を持った空間に木漏れ日のような光が落ちてくる空間としている。それを支える構造体は、旧庁舎の鉄筋コンクリートの門型フレームを45度振って積層させたように鉄骨の大梁小梁が重なり、大多喜町に残る町屋の小屋組を彷彿とさせる象徴的なものとしている。
旧庁舎の改修にあたっては、新旧の対比ではなく、むしろ改修の履歴を地層のように重なるよう今井兼次と対話を重ね、丁寧に空間を読み解き、何を変え、何を変えないのかをその都度判断している。断熱性能や設備機器は刷新しつつ、コンクリートやサッシは丁寧に補修し、新たに追加した建具にはかつての金物を使ったり、議場に必要な傍聴席は新たに設けて仕上げや空間、出入り口を大胆に変えつつ、もとの化粧梁は丁寧に補修したりと、どこからどこまでが新たなデザインで、どこからが創建時のデザインかもわからないような、新しい全体像をつくっている。

概要その他

設計者
千葉学建築計画事務所
所在地
千葉県夷隅郡大多喜町大多喜93
Goole Map >>
改修年
2011年
建築規模
本庁舎(新庁舎):鉄骨造、地上2階 中庁舎(旧庁舎):RC造、地下1階、地上1階、塔屋
掲載書誌
新建築2012年4月号、新建築2009年6月号(コンペ)
賞・選定
千葉県建築文化賞、BCS賞、ユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞
URL
http://chibamanabu.co.jp/projects/508/

リノベーションの手法・キーワード 等

増築, 補強, 遺構

 

 

 

記録作成者

氏名
千葉学
所属
千葉学建築計画事務所