エルプフィルハーモニー・ハンブルク

Before:埠頭倉庫A(Kaispeicher A) → After:エルプフィルハーモニー・ハンブルク

リノベーション前の倉庫写真募集中/

既存の煉瓦造倉庫の上部にガラスの建物が増築したように見える外観/撮影:桐原武志 2025年

展望フロアーから外部のデッキへの出入り口。曲面ガラスがダイナミック。/撮影:桐原武志 2025年

地上とプラザを結ぶエスカレーター。直線ではなく凸のカーブをしている/撮影:桐原武志 2025年

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[No214] 既存の倉庫を外壁を残し解体し、上部にコンサートホール、ホテル、住居を内蔵した倉庫と対照的なガラスで覆われた建物を、一見増築したように建設。

リノベーション概要

Before

建築名称埠頭倉庫A(Kaispeicher A)
建築用途生産施設 倉
建築概要

19世紀末に建てられた8階建ての煉瓦造の倉庫

After

建築名称エルプフィルハーモニー・ハンブルク
Elbphiharmonie Hamburg
建築用途 住居施設, 集会施設, 宿泊施設 劇場 ホテル
リノベーション概要

 19世紀から20世紀初頭に建てられた煉瓦造の倉庫が並ぶ運河沿いの港湾地区、その倉庫の上部に、煉瓦造の倉庫と対照的なガラス張りの独特の形状をしたした建物を載せたような建物エルプ・フィルファーニーが2017年に竣工した。一見すると増築のように見えるが、下層部の倉庫は外壁を残し解体されている。上層部は大小のコンサートホール、244室のホテル、45戸の住居を有し、倉庫の最上階は市民や観光客が無料で立ち寄ることが出来るPLAZAとなっている。PLAZA周囲のデッキからはハンブルグ市内や港湾地区を見渡すことが出来、多くの市民や観光客でにぎわっており、港湾地区活性化の起爆剤となっていることがわかる。元の倉庫部分があった下層部分は駐車場、ホテルのバックヤードと共に、地上階とPLAZAを結ぶ長さ80m、高低差21mのエスカレータが設けられている。このエスカレータの可動部は緩やかな円弧となっており、始点から終点を見ることが出来ず移動と共に視界が変化する。
 倉庫の外壁を残し増築したように見えるエルプフィルハーモニー・ハンブルクだが、もし倉庫を残さず解体し上部と同じようなガラスの建物を新築したら、これだけの人々を引き寄せるだろうか? 役割を終えた倉庫に新たな魅力が加わることで、当該倉庫だけでなく周辺にある倉庫にも新たな息吹を与え、エリア全体が活性化している。過去の資産に新たな息吹を与えることもリノベーションの大きな魅力と言える。

設計者 ヘルツオーク&ド・ムーロン
所在地 ハンブルグ
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改修年 2017年

リノベーションの手法・キーワード 等

海外

壁面保存, 増築, 対比

 

 

 

記録作成者

氏名
桐原武志
所属
Free / JIA再生部会