コラム

column

武蔵野市エコreゾート
公共施設の建替え&改修の成功のコツ
第23回JIA環境建築賞 優秀賞を受賞した、武蔵野市のゴミ処理場の建替え&改修施設
「武蔵野クリーンセンター・むさしのエコreゾ ー ト」の説明見学会(日時2025年2月27日)
に参加した。実に12年間を要したという。最初の2年間は、施設建設反対の住民との協議。
その後、市民参加で作り上げていった施設なのだそう。  
武蔵野市…
ヴァザーリの回廊
フィレンツェの象徴的な橋、ポンテ・ヴェッキオ。
その2階部分には「ヴァザーリの回廊(Corridoio Vasariano)」と呼ばれる長い通路が設けられている。
この回廊は、16世紀にメディチ家のコジモ1世の命により、
当時の著名な建築家ジョルジョ・ヴァザーリ(1511-1574)が設計したものだ。  1565年、コジモ1世はこの回廊をわずか5カ月で建…
銭湯からカフェ&オフィスへ「快哉湯」の再生物語
人々の記憶が詰まった銭湯
玄関の引き戸を開けると、木札の下駄箱が目の前に現れる。
靴を脱いで中へ入ると、そこには広々とした空間が広がり、芳醇な珈琲の香りが漂っていた。  この建物は、1928(昭和3)年に建てられた「快哉湯」。
2016年まで台東区下谷で人々に親しまれた銭湯である。
入母屋造りの本格木造建築で、瓦屋根の玄関、高さ5.5mの脱…
蜜柑道具小屋が化石窟へ 杉本博司の美学
寂れた作業小屋の入口をくぐると、目の前に広がるのは2億年前のアンモナイトの化石群。
さらに、5億年前の化石、4000年前の青銅器、人類初のくさび形文字、そして蜜柑畑の作業道具が並ぶ。
古びた小屋は、まるで5億年の時を閉じ込めたタイムカプセルのようだ。 昭和30年代に建てられた蜜柑収穫用の道具小屋は、小田原文化財団によって
「化石窟」へと転用され、江之浦測…
新年のご挨拶
明けましておめでとうございます
一昨年にスタートした本サイトも、昨年末で186事例になり、
文化庁の公式HPにリンクが張られるなど、社会的な評価も徐々に得られるようになりました。
また、昨年は京都への視察調査や、JIA関東甲信越支部の会報誌Bulletinでの報告も実現し、
多くの方が訪れる建築リノベーションのアーカイブになってきました。
文化庁の公式HPにリンクが貼られました
文化庁の公式HPに「建築リノベーションアーカイブ.com」のリンクが掲載されました!
https://www.bunka.go.jp/kindai/index.html これまで、文化庁のHPにリンクが張られているサイトは、
国立近現代建築資料館、全国近代化遺産活用連絡協議会、
東京文化財研究所の3つだけで、今回の追加で4つ目となります。
槇文彦さんメモリアルの会
当Websiteで紹介している「名古屋大学豊田講堂」と「ゐのはな記念講堂」を設計された槇文彦氏が6月6日に逝去されました。私が尊敬する建築家でした。
10月11日~13日に槇さんの代表作であるヒルサイドテラスで「槇文彦さんメモリアルの会」が開催されました。葬儀やお別れ会と異なり、個人が槇さんの遺影や動画と向き合い、お別れをする場でとても良い会場構成でした。私も献花とお別れをさせていた…
バランザーテの教会(1957,MILANO)
正式名称は「Chiesa Mater Misericordiae a Baranzate」。
この教会は、マンジャロッティが世にその名を知らしめたデビュー作である。
建物は半透明ガラスの白い壁、X字型の断面をした大きなPC梁、
そしてPC版の天井パネルで構成されている。
訪れた際には、午後の柔らかい光が白い壁を通して満ち、
天井…
地域で支え合う「聴竹居」
JIA再生部会の京都研修で訪れた聴竹居は、建築家の藤井厚二(1888~1938)が
大山崎町の約1万2千坪の土地に建てた自邸である。
彼のわずか49年の生涯において、全力で取り組んだこの住宅は、細部に至るまで工夫が凝らされている。
どの部屋にいても自然の風が心地よく吹き抜け、明るく快適な空間が広がる。
窓から望む風景は、京都郊外にいることを忘…
絵本『みんなのいえ』
著:たしろちさと、発行:文溪堂の絵本『みなのいえ』をご紹介します。 物語は吹雪の中をさまよっていた旅人が町の外れにあった廃墟にたどりついたところから始まります。旅人は崩れ落ちそうな家の補修をしながらその家に暮らし始め、その後やってきた旅人達も一緒に補修し暮らし始めます。まいにち まいにち すこしずつ みんなで なおした みんなのいえの絵本です。 著者の「たしろちさと」さんは「絵本『みんなのいえ…
物質に刻まれた痕跡を継承するデザイン
再利用しようと保管しておいた古い建具から、「7さい ようこ 1966」という文字を発見した。
建て主のご家族が子どもの頃に描いた文字である。身長を測って印を付けていたのだろう。
1966年とあるから、58年前の記録である。この痕跡を見つけた時、建て主の方は大喜びであった。
ごく普通の建具でも、思い出の詰まった建具は本人にとってはかけがえのない宝物だ。 2…
リノベーションで生き延びたパンテオン
そもそも、リノベーションは古くから行われてきた。
よく知られているローマのパンテオンも、その一例である。
パンテオンは、アグリッパによってローマの神殿を祀るため、約2000年前に建てられた。
しかし、ローマの神々が信仰されなくなった600年頃、
キリスト教の聖堂にリノベーションされ、破壊を免れた。
コンクリート造で堅固な構造とと…