コラム

column

城壁の掘を機械式駐車場に転用したCesena
約17年も前の話だが、Cesena駅を降りて旧市街に向かって歩いていたら、不思議な光景に出くわした。
広い幹線道路の下から、機械式パレットに乗った車が次々と出てくるではないか!
後で古地図を見たら、その場所が城壁の周りにめぐらされた堀の跡であることがわかった。
中世時代の城壁の堀を活用した、24時間利用可能な地下の機械式駐車場である。 イタリア北東部エミ…
旧四谷第四小学校 現四谷ひろば・東京おもちゃ美術館・CCAAアートプラザ
地域に愛されてきた小学校も児童数の減少により統廃合を迎え、2006年に廃校となりました。
校舎が取り壊されず活用されてきたのには、関係者の努力がありました。
もとPTAや卒業生などが、校舎を活用し実績を作り、行政に働きかけたことが区長にも届きました。
活用するためのプラン作りも地域の方々が行いました。
東京おもちゃ美術館や元美術教師だった先生…
安田侃の問う、時を超える価値観
東京ミッドタウンに設置された彫刻「意心帰」の制作風景
(2005年、Pietrasantaのアトリエにて、奥左手が安田侃氏) 「将来、ゴミにならない作品を目指している。」
安田侃氏のアトリエを訪問した時に、彫刻作品を生み出す時の思いがけない話を聞いた。
抽象的で崇高なイメージの彫刻作品と「ゴミ」という言葉が唐突に感じられたが、
考えてみると…
リノベーションで再生した黄金湯
コンクリートむき出しの壁にかかる白いのれんに、若い男女が次々と吸い込まれる。
昼下がりの東京下町・墨田区「黄金湯」の光景だ。
内部はコンクリートむき出しの壁に囲われ、番台の代わりにDJブース&バーカウンターが出迎える。
エントランス空間からすでに、何やら他の銭湯とはひと味違う気配が漂う。 黄金湯が現在のマンション型銭湯の姿になったのは1985年。
築35年…
美術館をワクチン接種会場とする発想
広いギャラリー空間で、ゆったりと現代絵画を鑑賞しながらワクチンの注射を打つ人たちがいる。
2021年4月、イタリア・トリノ近郊のリヴォリ現代美術館の3階ギャラリーでの光景だ。
リヴォリ現代美術館は、世界で初めてワクチン接種会場を設置した美術館である。
美術館をワクチンの接種会場に転用するという発想は、一体どこから生まれるのか。
非常事態に…
入居者に受け継がれる保存活用のDNA
清洲寮は入居希望者が多く、空き部屋がなかなか出ない築90年の民間賃貸集合住宅である。
設計・施工は大林組で、昭和8年(1933)に建てられた清洲橋通りのランドマークだ。
全66室の内、3分の2は若手で、スタートアップのアトリエや事務所に使用している人も多い。
同潤会アパートとほぼ同じ築年数だが、大切に維持管理されているため現在でも築90年にはとても見えない…
TOKYO BIKE TOKYOが示す「これからの店舗のカタチ」
自転車屋なのに、店内で最初に目に飛び込んで来たのは大階段と植物。
きれいな自転車がずらりと並んでいるかと思いきや、商品の自転車は大階段の裏に置かれ肩すかしを食った。
しかも、店員に最初に案内されたのは大階段で開催している自転車をテーマとした切り絵展の方だった。 tokyobikeの旗艦店「TOKYO BIKE TOKYO」は、1963年に竣工した倉庫を外観はそのままに…
隅田川沿いのカフェ&ベーカリー「iki Roastery & Eatery」
川に向かって大きなガラスの開口部が開かれ、天窓から気持ちの良い自然光が差し込む。
内装は既存建物のむき出しの木板を基調として、新らしく付け加えたものは、白とグレーで統一され清々しい雰囲気である。
カウンター上部には動物が描かれた大きなアートが掲げられ、室内空間に生命感を与えている。
隅田川沿いの倉庫をリノベーションした「iki Roastery &…
高田馬場駅前の凄い耐震補強
外壁に××のブレースが取付けられ、美しくない耐震補強をよく見かけます。耐震補強をどのようにデザインするかもリノベーショ手法の一つです。そのような中、過剰とも思われる凄い耐震補強を見つけました。高田馬場駅前の稲門ビルです。ここまで行くと新しい壁面デザインで脱帽です。詳しく知りたいので、構造設計者をご存じの方は是非お知らせ下さい。 追伸:稲門ビルの耐震補強をした構造事務所は「MUSA研究所」であるメ…
歴史的建物「白浜ホテル」を使い続けるオーナー
「フランスで古い建物を大切に使い続ける精神を培ったので、築50年のこの建物を自分流にアレンジしながら使ってます」
フランスやアメリカで長い海外経験をしてきたオーナーの鈴木斎(いつき)さんは、1960年代に建てられた建物を自分流にリノベーションしながら大切に使い続けている。
母親が創業したホテルを2017年に継承した。エントランスホールを入ると、アンティークな家具や観葉植…
古民家活用のスターバックス 京都二寧坂ヤサカ茶屋店
京都の二寧坂にある古民家を保存活用したスターバックス。
小さな袖看板があるだけで、周囲の街並みにすっかり溶け込み、うっかりすると通り過ぎてしまいそうな外観である。
明治末から大正時代にかけて建てられた建物は、外観はそのままで内装の柱と梁を一部移設しただけでほぼ再利用である。
もともと二寧坂周辺は、重要伝統的建造物群保存地区に指定されているため、外観の変更は…
旧大宜味村役場庁舎の保存活用
「何か良い活用方法はないでしょうか」
大宜味村教育委員会の森下愛子氏から、そんな質問を投げかけられた。
背後で新庁舎の建設作業の音が鳴り響く中、約100年前に建てられた小さな白い建物は、自らの運命の行方を待ってひっそりとたたずんでいる。  旧大宜味村役場庁舎は、戦争を経て残る現存最古の鉄筋コンクリート造建築物で、2017年に重要文化財の指定を受けた。
建…